メルボルンでバンクシー・アート展。グラフィティーアートで表現される痛烈な風刺を体感して来ました。
メルボルンはアートが溢れる街。色んなジャンルのアートが散見できますが、とりわけ私が見て歩いているのがグラフィティーアート。
ちょっとした裏路地にもグラフィティーアートがあるので、路地をふらっと歩いていても目を楽しませてくれます。
そんなメルボルンにふさわしいアートの展示会が10月にスタートしました。世界で最も名高いと言って差し支えのないグラフィティーアーティスト、バンクシーのアート展が期間限定でオープしました。
今回はバンクシーのアート展を見に行って思った事などをご紹介します。
道端の落書き? グラフィティーアート?
そもそもグラフィティーといえば「落書き」の意味合いで使われることがありますが、バンクシーはそれを芸術の領域まで昇華させた存在。
何でも検索できる情報化社会において未だに匿名を保っています。
彼のグラフィティーの何が凄いかと言えば強烈なメッセージ性を含んでいると言うこと。大概は皮肉たっぷりな作品が多く、ただ考えさせられるだけでなく、思わず唸ってしまう様な内容の作品が多いです。
幾つかの例を紹介しましょう。
飽食と飢餓
バーガーキング、オーストラリアではハングリージャックと言う名前で出ています。男の子が被っているのは、そのバーガー屋さんでもらえる厚紙でできた王冠。
飽食と飢餓のコントラストが強烈な作品。
いつかは。。。
しょげたチンパンジーが下げているプラカードに書いてあるのは「笑っていられるのも今のうちだぞ。いつか俺達が支配する」
この作品は思わず自分を投影してしまいました。日本で仕事をしていた時、いわゆる「ダメなやつ」のレッテルを貼られ、精神的にも追いやられていた時期がありました。その時はプラカードにある様な事を思う余裕さえなく、ひたすら働いていた思い出があります。
スイートで危険なもの
中を見てみると大きめのガラス瓶にゼリービーンズやビスケットが入っています。ビスケットにはバンクシーの作品が描かれています。
お菓子屋さんなのにドクロマーク入りの「食べるな」の標識。これは単に展示品を食べるなという事ではなく、甘いお菓子の害を訴えていると捉えました。
しかもクッキーの表面にプリント付けされた、爆弾を抱える少女。
日本で有名なお化け屋敷プロデューサーの五味さんが「コワイものの中に可愛さのがあると怖さが引き立つ」と言っていました。かわいいキャラクターを使うと、風刺の度合いもより一層引き立ちますね。
愛ゆえの毒
これまたショッキングな作品。お母さん(聖母)が赤ちゃんに毒をあげているステンシル。
母親は良かれと思って赤ちゃんにミルクをあげていますが、実は毒であったとしたら。。。昨今ニュースになった中国産の毒ミルクや、親が子供に食べさせてたり飲ませたりしているものが果たして毒入りではないと誰が言えましょう。
そんな風刺が伝わって来る絵でした。
まとめ
社会をあざ笑いつつ風刺した作品が多い中で、ふと思ったのがこの展示会自体がバンクシーのグラフィティーアートなんじゃないかと。
その証拠に開催場所は中心街からちょっと外れた駐車場の裏。そこに仮設テントを設けて開かれています。まさに裏路地のあるべき姿、そのままを再現しています。
ちょっと怪しいバンクシーの世界、通常のアートとは異なる世界感を覗いてみるのも楽しいですよ。
したらね~。
The Art of Banksy ( 公式ページ )
フェデレーションスクエア駐車場の奥
月~水: 4pm – 8pm
木~日: 11am – 8pm
2017年1月22日まで開催