小説『世界最強の商人』から学ぶ、世界最強の生き方となる10のポイントとは?
突然ですが、ひとにものを勧めた事はありますか?
「駅前にできた新しいパン屋さん、すごく良いよ。特にバケットは絶品!」
「私が美容室で分けてもらったシャンプー、使った後の指通りが最高なのよ!」
私はサラリーマン時代、営業をしていたのでお客さんに商品を勧めて売り歩いていました。売れるときもあれば売れないときもあり、売上が不調の時はすこぶる悩んだりしたものです。
皮肉なもので、サラリーマンを辞めた後の方が、営業やセールスに関する本をたくさん読みました。振り返ってみれば、「あぁ、〇〇ができていなかったから売れなかったのか。」と気付かされる事もしばしば。
今回読んだのはアメリカでセールスの古典作品とされる小説『世界最強の商人』。
果たして、「トップセールス」というレベルではなく「世界最強」ってどんなモンなんだ?と疑問に思いつつ興味が沸いたので読んでみました。読了してみたら、セールスに押しとどまらず生き方についての指南書だという事にビックリ!
今回はこの小説の内容についてと、そこから考えた事をシェアします。
『世界最強の商人』あらすじ
教えを守ると世界最強の商人になれる - ある善行がきっかけで少年ハフィッドは師から突然、成功のための秘訣が書かれた10巻の巻物を譲られた。巻物の教えに従い彼は巻物を読み進めてゆくと — といった感じで小説は始まります。
この小説の中でキーとなるのがこの10巻の巻物。世界最強の商人になれる秘訣が書かれているのですが、ただ読むだけでなしに一定のルールに従って読まなくてはなりません。そのルールというのが;
私はそれぞれの巻物を30日間、ここに規定された方法で読み続ける。そしてそれを終えるまでは次の巻物に進んではならない 。
まず、起きた時、これらの言葉を黙読する。次に昼食を済ませたら、もう一度、これらの言葉を黙読する。そして1日の終わり、眠りにつく前にもう一度読む。重要なことは、 この3回目には声に出して読むということだ。(91ページ)
そしてこれを習慣とし、徹底して行う事。私は良い習慣を作りその奴隷になろう。(90ページ)
1日3回も朗読してしかも最後には音読する。これこそ究極のアファメーション(自己肯定)ではないでしょうか?
総計では 一日3回 x 30日 x 10巻 = 900回も読み通す事になります。日数にして300日。
体の細胞も代謝して入れ替わり、1年もすると新しい自分になっています。習慣は90日間続ければ身につくとも言われています。
10巻の巻物を、これほどまでの時間を掛けるという事は新たな自分に生まれ変わる事を暗示していますね。
巻物の内容について
さて、気になる巻物の内容について触れてゆきましょう。
巻物は1巻から10巻までに分かれており、それぞれの巻では主題とするところが異なります。それぞれの巻物では、カギとなる言葉が何度も繰り返し使われ、その具体例が提示されています。各巻のコトバをリストアップすると次の通り。
- 巻物の第1巻 私は今日から新しい人生を始める
- 巻物の第2巻 私は今日という日を心からの愛を持って迎えよう
- 巻物の第3巻 私は成功するまで頑張りぬく
- 巻物の第4巻 私はこの大自然最大の奇跡だ
- 巻物の第5巻 私は今日が人生の最後の日だと思って生きよう
- 巻物の第6巻 今日、私は自分の感情の主人になる
- 巻物の第7巻 私は世間を笑おう
- 巻物の第8巻 今日、私は自分の価値を100倍にする
- 巻物の第9巻 私は今、行動する。
- 巻物の第10巻 導きを求めて祈る
この言葉を主軸に、具体的な行動例や心の持ち方が書かれています。
これらを見る限り、セールスとは直結しない内容も多く感じられます。その通り、その巻物に記されている事はものを売る、という事を超越してどう生きるべきか、という所にまで昇華されています。
世界最強の商人、かくの如く我聞けり
各巻の言葉や例は、西洋書だし私にとってはスンナリ入って来づらかったので、自分の身になりにくいかな〜とも感じました。
そこで如是我聞(にょぜがもん=私はこう聞いたよ)の見地から、私が受け取ったメッセージは私なりに解釈してみました。各巻のメッセージは次の通り。
- 毎日を新しいスタートにする
- 愛をもって行動しよう
- 不屈の精神を持って取り組もう
- 偶然とチャンスを最大限に活かそう
- 時間を大切にしよう
- 自分の感情をコントロールしよう
- 笑みをもって生活しよう
- 自分の価値や才能を知って掛け合わせよう
- 即、行動しよう
- 感謝の心を忘れずに
これだけを読むと「なんだ、 随分と当たり前のことが書いてあるんだな」と思うかもしれません。しかし当たり前の中にこそ究極の秘訣が隠されています。
当たり前の中にある真髄
茶の湯を極めた千利休。あるとき弟子に「茶道とは何ですか」と問われ、答えたのが;
- 茶は服のよき(美味しく)ように
- 炭は湯の沸くように
- 夏は涼しく冬は暖かに
- 花は野にあるように
- 刻限は早めに
- 降らずとも雨の用意
- 相客に心せよ。
と、至極当たり前のことしか言っていません。弟子はこれを聞いて「そんな事なら私もよく知っています」と言うと、千利休は「もしこれができたら、私はあなたの弟子になりましょう」といったそうです。
正に言うは易く行うは難し、ですね。当たり前の事ほど難しく奥が深いものです。
まとめ
いかがでしたか? 商売をするのしろしないにしろ、10巻の巻物にある知恵は日々の暮らしの上で非常に重要だし役立つもの。
カンタンにみえる言葉こそ大切ものを内在していて、当たり前がゆえにふと置き忘れてしまう、そんな毎日の繰り返しにならないように、いま一度、巻物に綴られた言葉を噛みしめてみましょう。
それではまた!